コストコ ホールセール ジャパン株式会社

倉庫店立ち上げの稀少な経験が現管理職の礎として活きる

PROFILE

さまざまな職種を経験後、1999年コストコ ホールセール ジャパン株式会社の日本初出店時の第一期生として入社。いくつもの倉庫店での勤務、ならびに本社でも約5年、全倉庫店の生鮮部門の管理マネジャーを経験。2017年より、千葉ニュータウン倉庫店の統括責任者として活躍中。

米国留学時のコストコとの運命的出会い

生活を彩る幅広い品ぞろえの高品質な優良ブランド商品を、できる限り低価格で提供するアメリカ発会員制倉庫型店。現在世界中に730倉庫店以上の店舗を展開し、そのうち25倉庫店が日本国内に点在している。1999年、国内第一号倉庫店となる福岡県糟屋郡の久山倉庫店の立ち上げから、その歴史をシェアし続ける一人、有馬智美さん。

米カリフォルニアに留学中、しばしば友人と訪れていたというコストコ。その日本上陸時には迷うことなくエントリーし、晴れて入社。フルタイムキャッシャーからスタートし、少しずつステップアップを重ね、現在は倉庫店長としてのキャリアに初挑戦中だ。そんな有馬さんの忘れ得ぬ体験談を伺った。

「多摩境倉庫店（2012年にオープン）立ち上げの際は、レジ関係のマネジャーに就任し、一気に120人ほどのスタッフを抱えることになったのです。スケジューリングをしながら、業務を遂行していたので、失敗ばかり。すごく大変でしたね。気づいたら、なんと500円玉ほどの円形脱毛症になっていて。そして無事オープンしてほっとしたのも束の間。今度は信号がなかったために、お客様が駐車場から出られないというトラブルに見舞われたりもしました」

初のマネジャーとしての経験は、その後の有馬さんの自信へとつながり、2回目以降の立ち上げ時には、逆算して事前にすべき事柄を想定でき、余裕が生まれるようになったとのことだ。

大切にすべきことは100%「人」

「お客様によいサービスを提供するには、やはり従業員をいかにケアできるか。従業員に感謝するとともに、よい環境で働けるための働きかけをする。でもまずは自分自身の行動ありきで、直属の部下に、ある程度自分が何をしたいのかを伝えるというのがモットーです」と語る有馬さん。現在274名の従業員とともに仕事をする中、事あるごとに、彼ら一人一人の名前と顔をマッチングするための努力を惜しまないそうだ。なぜならそれが最重要業務と言っても過言ではないからだという。

「相手の名前を呼ばずに声をかけると、従業員はすぐにわかりますよね。やはりそれって、逆の立場だったらすごく傷つきますものね」

同様に現在、全体の2割ほどという外国人従業員と共に働いているそうだが、そうした彼らへの配慮も抜かりない。「いかにしてよい面を発揮させてあげられるかということを念頭に、丁寧に扱います。細かく指示を出してあげないと、違う方向へ動いてしまうこともあり得ますので。そのあたりは公平性が欠けてはいけないと思っています」こうした心遣いある社風から、離職率も低いという。その大きな理由の一つにはやはり福利厚生の充実度があげられる。95%以上の年次有給休暇の消化率、男女共に産休＆育休のシステムも整っているなど。それは「持続可能性に関するコストコの責任」のほんの一例だ。

誰にでもキャリア開発のチャンスはある

「いわゆる会社の中の決まり事は、もしかすると日本の企業よりも多いと思います。でもかなり柔軟性があるのではないでしょうか。また上司と部下の間の敷居が高くなく、ファーストネームで呼び合うのが慣例になっています。もちろん年功序列のようなシステムではなく、年齢や性別にかかわらず実力のある人が認められ、それなりのポジションに就くことができます。が、一方で責務が乗っかってきますので、タフでなければなりません」

外資系ならではの実績による判断のため、常にエッジに立たされているような、身の引き締まる思いで業務を遂行せねばならないのだという。

「実は今、一番つらい時期なのです。これまでいろいろな部門の管理職を経験してきましたが、倉庫店長は今回が初めてですので。ただ過去19年間のキャリアから、『きっと乗り越えられる。乗り越えられない壁はない』と思っています。ちなみに弊社は男女に関係なく門戸が開かれている分、女性にも上の方たちが非常に温かくサポートしてくださるので、本当に助けられています」

ときには同じ境遇の他倉庫店のマネジャーや副倉庫店長たちと情報共有かつ悩み事相談を兼ねた食事会、またサウナや岩盤浴もあるご近所のスパリゾートで心身のセルフケア、と明日のチャンスに備えるスタイルも有馬さん流仕事術なのかもしれない。