米国に本社を置く素材科学品メーカーの日本法人、ダウ・ケミカル日本株式会社。化学とポリマー技術を基盤に、包装、インフラ、コンシューマーなどの市場において、顧客企業に向けて持続可能なソリューションを提供している。インクルーシブな職場環境を重視する同社では、多様性を尊重し、年齢や性別、国籍、経験などを問わず、社員一人一人に裁量が与えられ、誰もがチャレンジできる風土が根付く。人事部マネージャーの村上裕理さんと、営業部のシニア・セールス・スペシャリストの中本由紀子さんに、同社を選んだ理由や魅力、職場環境などを伺った。
村上私は大学卒業後、中学・高校の英語教員を務め、留学後まだ人事に携わる前の職種で、リーダーの采配でメンバーのやる気と成果が大きく変わった経験から人事に興味を持ち、キャリアを転向しました。他社で人事をしている際参加したカンファレンスで、ダウ日本の人事部長とアジア太平洋地域の人材開発リーダーが話したダウの人材育成の考え方に感銘を受けたことをきっかけにダウに入社しました。製造業・化学業界は初めてでしたが、外資系企業らしい動きの速さや、チャレンジの与え方などに興味を持ちました。入社後は、報酬制度・給与体系の分析や設計、研究開発部門の人事マネージャー、昨年9月からはグローバルでの人事体制変更があり、現在は、製造部門以外の全部門の人事マネージャーとして、また、ダウ・ケミカル日本株式会社の人事部長も兼務しています。
中本私は現在、シリコーンを中心とする製品の営業職として、プラスチック業界や電気電子部品業界への営業を主にしています。化学業界と一言で言っても、自動車、電気電子、食品、化粧品など裾野がとても広く、さまざまなことが経験できることを魅力に感じました。ダウを選んだのは、働き方を自分で選んで決められるためです。他社での面接で聞かれた「お子さんに熱が出たときに、誰か見てくれますか?」といったことはダウの面接では一切聞かれませんでした。「自分の好きなように時間を調整して働いたらいい」と言ってもらえたのは、子育て中の身としてはうれしかったですね。
村上日本の他の企業でも働き方の制度を整えているところは多いですが、その中でもダウは制度の根付き度が高いと思います。個人に裁量を任せていますが、そのベースには社員に対する信頼があるからできること。自由が利く分、結果を出さなければいけない責任もありますが、逆にそれを楽しみながら働いている人が多い気がします。人生には人それぞれにステージがあると思いますが、「ライフステージに合わせ仕事のスケジュールをマネージするのもあなたの仕事ですよ」というメッセージがとても明確に伝わってきます。あらゆる状況下で、一番良い状態で働けることを一緒に考えてくれる会社です。子育て中の社員も、特にお子さんが幼いうちは「ダウでなければ働けなかった」と言ってくれる人が多いのは、人事としてうれしいですね。私も家族が体調を崩した時に仕事が立て込んでいましたが、周りに助けられました。上司からも「家族を最優先に」と言ってもらい、励みになりましたし、ダウではそれが普通のこととして受け入れられています。
中本私も「ダウだったから仕事ができている」と実感しています。営業職は外勤が多いのですが、今日は自宅から取引先へ営業に行き、そのまま帰宅するといった動きも、上司に事前に承認を得る必要がありません。自分の裁量で決めて動けるので、働きやすいですね。「費用対効果」をいつも考えながら、どのお客さんにどれくらいの時間を割けば将来的な利益が得られるかなど、限られた時間の中で効率良く仕事を進めるよう工夫しています。
グローバルな職場で社内外で人間関係を築き上げる
村上海外に上司がいたり、一緒にプロジェクトをやったりなど、実質的に海外と働いていることが多いです。社員の皆さんの英語力の高さも驚きましたし、主張の仕方などもすごく上手だと思いました。ダウは約160ヵ国でビジネスを展開していて、むしろ英語がネイティブな人の方が少ないので、お互いの伝えたい気持ちや、伝えようとする姿勢が大切だと思います。
中本製品によっては工場が海外のものもあるので、海外とのやりとりは多いのですが、英語が苦手な私でも受け入れてくれて、すごく助けられています。
村上海外の同僚は論理的な考え方や、全く違う視点での発想をする人が多く、人事として仕事をする上で学ぶことが多いですね。文化や法律が異なる海外の同僚に仕事の説明をする際は、ポイントを絞って話すことを意識しています。ダウは2016年に今の「ダウ・東レ」がグループに加わりました。カルチャーが異なる会社同士ですので、求める人材についての考え方に違いもありました。ダウはこれまで研究開発部門では中途採用が多かったので、新卒採用をほぼゼロベースから採用プロジェクトを始めました。試行錯誤しながら、ダウの強みや差別化、求める人材、必要な人材像など全て棚卸しして、頼もしいプロジェクトメンバーと一緒に結果的にプロジェクトを成功させることができ、人事としてのやりがいを実感しました。
中本営業は、取引先と対話をしながら「相手は何を求めているのか」をどれだけ聞き出すことができるかが大切だと思います。競合他社と差別化が難しい製品を売ることも多いですが、いかにして私から買ってもらうことができるのか。営業の根底にあるのは「信頼関係」ですから、相手との信頼を積み重ねて「分かった、ダウから買うよ」と言われたときが、一番やりがいを感じますね。時にはドライな決断をしなければならない場面もあるのですが、最後は人間関係がものを言うと思います。だからこそ常に真摯な説明をするように心掛け、日頃からの関係づくりを大切にしています。
村上入社した頃、リーダーたちと1対1でお話をした際に、「ダウの仲間として会社を良くしていくために、新卒、中途採用など関係なく、ダウファミリーとして頑張ろう」と言っていただいたことが印象に残っています。上司たちの会社に対する愛情と誇りを感じました。
キャリア形成は自分次第年次を問わずチャレンジできる
村上ダウでは、例えば、研究開発に所属していながら営業に興味を持ったとして、そうしたキャリアの希望を上司に伝えられる環境があり、伝えることは決してマイナスにはなりません。社内にはジョブボードのような社内公募制度があり、同じポジションに何年かいたら、フリーエージェントのように手を挙げて異動することもできます。ダウの根底にあるのは「人材」ですから、その人が本来やりたいと思っていることがあるのに、その実力を発揮できないポジションにいることの方を危惧するのです。人事から声を掛けることもありますが、あくまで「自身のキャリアの責任者は自分であり、自分で切り開いていこう」というメッセージは、しっかりと社員に伝わっていると思います。
中本私もその社内公募を利用して現在の部署に移りました。初めはプラスチック用添加剤を扱う部署にいましたが、入社から2年たち、他の事業部の仕事を見てみたい、他の製品も扱ってみたいと思い、自ら手を挙げて異動しました。現在はダウ・東レに出向しています。東レとの合弁会社ということでダウとは違う社風や社員の雰囲気もありますが、それもいい経験になっています。
村上ダウの社員は自立している人が多く、人としても優しくて「いい人たち」が多いんです。部署が違うと壁があって話がしづらいというようなことは、ダウではありません。部署が違っても自分からアプローチし、理論立てて自分の思いを伝えれば、親身になって協力してくれます。
中本「いい人たちが多い」というのは同感です。互いの意見を聞いて、受け入れて、どうするか、と前向きに考えていきます。皆が同じ方向を向いて、共通のゴールに向かって話し合い、やり方を決めていけるので働きやすいですね。座席のフリーアドレス制が始まったこともあり、他部署の人と話す機会もたくさんあります。また、部署を越えて参加できるボランティア活動やクラブ活動もあります。村上さんともボランティア活動で知り合いましたね。
村上そうですね。ダウでは、ボランティアなど地域社会と従業員のつながりを深めることを大切にしています。また、最近では「インクルージョン(inclusion)」が意識されるようになってきましたが、ダウは随分前から真剣に取り組んでいます。化学業界はまだ男性が多い職場ですが、「インクルージョン」とは、多様性を認めるということ。多様な意見や考え方がなければ、開発もイノベーションも生まれません。入社1、2年目の社員であっても「この人に任せて大丈夫」「ポテンシャルがある」と思えば、あえて高い目標を設け大きなお客様やプロジェクトを任せますし、皆が横並びである必要はないと考えています。型にはまる人材を求めていないところが、ダウの魅力なんです。
これがあるから頑張れる!
- 村上 裕里さん
- 人事部
マネージャー
同僚に誘われて会社の華道部に入りました。まだ初心者ですが、リフレッシュでき、別部門・職種の同僚と知り合えるのも魅力です。
これがあるから頑張れる!
- 中本 由紀子さん
- 営業部シニア・セールス・スペシャリスト
年に数回は家族旅行に行くようにしています。仕事からも家事からも離れ、子どもと向き合い、家族一緒に過ごせるのがうれしいです。
- ダウ・ケミカル日本株式会社
- 米国ミシガン州に本社を置く素材科学会社である、ダウの日本法人。日本における事業活動の歴史は長く、ダウ日本は日本で外資の企業活動が自由化されたことを契機に1974年に設立された。現在、グループ会社である、シリコーンを中心とした高機能素材を提供するダウ・東レと合わせ、約900名の従業員が、4ヵ所の製造拠点(小松、千葉、名古屋、福井)を含む6ヵ所の主要拠点において、包装材、機能材、工業中間体など次世代のソリューションを通じてコンシューマー・ケア、インフラそして包装業界におけるお客様をサポート。ダウはオリンピックの公式化学会社であり、2020年東京オリンピック開催も支援している。