この学校でキャリアアップを目指す

グローバルスクエア

学校長 ● 各務かがみ乙彦おとひこさん

英語の理解を妨げるのは日本語との言語構造の違い

「ビギナーがビジネス初級レベルの英語を習得しようとした時、日本人は約1,320時間かかるのに対し、ヨーロッパ人は480時間ほどでマスターすることができます。この差はどこから出てくるのか考えた時、言語構造の違いに原因があると気付いたのです」と、英語学校グローバルスクエアの各務乙彦校長。英語やフランス語、イタリア語などヨーロッパ系の言語は「語順支配」を特徴としており、例えば“Tom loves Mary.”と言えば、Tom が主語でloves が動詞、Mary が目的語になる。だが、日本語は「てにをは」で文中の役割が決まるため、「トムはメアリーを愛している」と言うこともできれば、「トムは愛している、メアリーを」とも言える。「この『てにをは』の発想が、日本人が英語の構造を正確に理解することを妨げているのです」

そこで、各務校長は、文の構造をシンプルに３つのルールでとらえ、英語と日本語を相互に照合しやすくするメソッドを考案した。それがグローバルスクエアが実践する「3 Way System」だ。「全ての言語の文は、S（主語）＋V（動詞）＋O（目的語）といった基本的な構造を持つ『５文型』に分けることができます。それに『動詞のかざり』である副詞類、『名詞のかざり』である形容詞類が入ることで、文が構成されているのです」。例えば、That man with a hat bought a book yesterday.（あの帽子をかぶった男性は、昨日、本を買った）という文は、That man（S）＋bought（V）＋a book（O）という文型で、with a hatという「名詞のかざり」、yesterdayという「動詞のかざり」がついていることになる。より複雑な文も、この分類を行えば、「てにをは」に頼ることなく容易に構造を把握できるようになるのだ。

ビジネスに必要な知識を得て発信する力も養う

このシステムの画期的なところは、英検３級前後レベルの人でも、英字新聞の時事問題に関する記事などの高度な英文を、構造を把握することで読み解くことができるようになる点だ。「入学当初は約２カ月、この３ Way Systemで英文を理解する方法を徹底的に身に付けます。ここで瞬時に英語を処理することができる『英語脳』を鍛え、次に英字新聞の記事を読むクラスに進みます」

日常的に英字新聞の記事に接することで、ビジネスに必要な国際情勢の知識が得られ、リスニングや受講生同士でのディベートも行う。3 Way Systemで構造を理解することで、英文を組み立てて発信する力も養われるのだ。「受講生には、英語が苦手だけれども、職場で英文メールを書く必要性が生じ、切羽詰まって始めたという方が多いですね。現在は半数以上が女性です。よく使われる英文を丸ごと覚えて繰り返す手法ではどうしても力が伸びず、様々な英語学校を回った末にたどり着いたのがここだったという話も聞きます」

TOEIC テストでも、500～600点台で伸び悩んでいた人が、グローバルスクエアに通い数カ月で800点台に達したという例がある。特にPart 7のリーディング問題で、時間内に最後まで解けるようになったという声が多いそうだ。「TOEICによく出る問題を覚えて解き方のコツを身に付けても、本当の実力がなければ、高得点を望めません。3 Way Systemで英語を根本から理解することにより、壁を突き抜けることができるのです」

文の構造を理解するトレーニングを重ねることで、「日本語の文章が上手に書けるようになった」という受講生も多いという。

取材・文／足立恵子
写真／川崎聡子