求められるのは「コミュニケーション能力」
世界最大規模の化学会社の日本法人である、ダウ・ケミカル日本株式会社。高機能素材、工業用中間体およびプラスチックなど、幅広く多彩な素材を扱っている。社内では、グローバルな仕事の機会を求める多くの女性社員が活躍している。中でも若手のリーダーとしてキャリアを築きつつある伊木彩乃さんと2年後輩の太田麻莉さんに、入社の動機や仕事のやりがいについて語っていただいた。2人とも大学の文系学部卒業後に新卒として入社、現在はポリエチレン営業部での先輩・後輩でもある。
伊木私が就職活動をしていたのは東日本大震災がまだ記憶に新しいころで、日々の生活において物流の確保がいかに大切であるかということが、話題になっていました。私も物流、すなわちロジスティクスの分野で人の役に立ちたいと考えていたところ、ダウ・ケミカルの全事業部の物流を網羅する部署での採用が決まったのです。子どものころにシンガポールとマレーシアで生活した経験があり、国際的な業務に就きたいという願いも、ダウに入社することでかないました。
太田私は、自分の感性に合った企業として、ダウ・ケミカルを選びました。私も小学校までシンガポールやイギリスに住んだ経験があり、バイリンガル向け就職フェアでダウのブースに立ち寄ったところ、ほかの企業とはちょっと違うという感触を得たんです。採用担当の方々は個性豊かで、入社後は個人の裁量で仕事をするという話に、とても魅力を感じました。また、自由な雰囲気も自分に合っていると思いました。面接に訪問した際、「それで、うちで働きたい?」とズバリ聞かれ、迷わず「はい、働きたいです!」と答えていました(笑)。
伊木私は文学部出身ですが、入社前に「化学式を覚えないといけないような仕事ではない。理系の企業だから、と選択肢から外してしまう職場ではなく、それより、人と話をする能力が大事」と聞いて心強く思いました。海外では主に日本語で生活していたため、英語は自分で勉強して身に付けました。入社してからは、技術的なことは一から学び、仕事に必要な英語も、職務の中で徐々に学んでいきました。
太田私は法学部出身で、化学といえば中学校で赤点だったほど。会社で扱う商品については、入社してから学びました。また、入社後1年間はCommercial Development Program(CDP)という、アジア太平洋地域の複数の国の社員が同時に参加する研修を受けていたため、世界にネットワークがあるダウ・ケミカルの業務全体について学ぶことができました。
人事は一人一人の個性や適性で判断 海外と自発的なコミュニケーション
伊木入社してみて、実際に社員一人一人を大切にする企業だということがよくわかりました。無駄な残業はなし、自分の仕事が終われば帰社することができ、「ほかの人が残っているから帰れない」などということはありません。就職活動のときに聞いていた話の通りの職場環境でした。一方で、同じ事業部で働く海外のオフィスの人が日本に来れば一緒に気軽にランチに行くこともあり、役職が上の人との距離が非常に近い職場だと感じています。
太田私は営業の仕事で国内出張が多いのですが、いつどこへ出張に行くか、その都度上司におうかがいを立てる必要はないんです。どの会社を訪問してどういった営業をするか、自分で計画し、実行します。きちんと成果を出すことができれば、日々の業務を細かく管理されることはありません。毎日異なる日々はとても刺激的です。今の目標は、もう少し効率性を重視し、優先順位をしっかりつけながら仕事がアレンジできるようになることです。
伊木ロジスティクスの部門で約4年働き、早いうちにほかの仕事にも挑戦してみたいと思っていたところ、現在のポリエチレン営業部でバリューチェーンマネジャーの仕事に就くことができました。私たちは原料メーカーなので、ポリエチレン樹脂を直接販売する相手はプラスチック製品加工会社ですが、その製品を使って最終的に消費者向け商品を作るのは、化粧品や石けん・洗剤などのメーカーです。それらの大手メーカーを訪問し、新しいプラスチック容器包装に関するニーズを取り込むのが、私の現在の業務です。一方的に売り込むのではなく、メーカーと一緒に新しい付加価値を考えるという、とても意義のある仕事です。
太田私は入社後の1年間の研修を終えてから、塗料原料の営業部門にいたのですが、ポリエチレン営業部の部長から声をかけていただいたのがきっかけで異動しました。ダウでは人事部の辞令があって異動するのではなく、「このポジションに空きがある」という打診を受けたり、自分から「この部門に移りたい」という希望を出すなど、自発的なキャリアプランが大切です。
伊木社員を学歴や資格で判断するのではなく、それぞれの個性や適性を見て判断してくれます。上司や同じ職場の人たちが、私の話をしっかり聞いてくれているという実感があり、安心できますね。
太田社内には、言われたからただなんとなくその業務をしているというのではなく、どんな仕事をしたいかがはっきりしている人が多いですね。そういった環境の中で、自分の意見も率直に言うことができます。
伊木ダウ・ケミカルは世界各地にネットワークがあり、私は現在、ポリエチレンのバリューチェーン・マーケティングの日本・韓国担当です。さまざまな国にそのエリアの担当者がいて、アジア太平洋地域を統括する私の直属の上司は、上海にいます。 インターネットを利用して常時海外のチームとやりとりをする、とても刺激のある毎日です。
太田私の場合、上司は日本のオフィスにいますが、マーケティング上の判断はシンガポールにいる担当者と調整するなど、仕事が国の枠にとらわれることはありません。
伊木常に上司に監督されているというわけではない分、進捗状況は自分からアップデートし、誰かのサポートが必要であれば、自分から助けを求める必要があります。海外のオフィスも含め、社内でのネットワーク作りは非常に大切ですね。
太田新人でも待っているだけでは手取り足取り教えてもらえるわけではない、と聞いていましたが、本当にその通りです。でも、チームとしての結束力もあり、日本のオフィスの中で、またはアジア太平洋地域の中で、お互いに協力し合って目標を達成しようというチームワークも強いんです。
育休後の職場復帰は自然な流れ 社内女性ネットワークで人脈作りも
伊木私は今一人暮らしですが、この会社にいて、結婚している先輩方が育児休暇を経て戻ってきたり、在宅勤務などフレキシブルな勤務体制を生かして子育てをしながら仕事を続けていたりするのを見ると、 出産を経て職場に帰ってくるのは、ごく当たり前のことなんだと感じています。復帰した後は在宅で働く時間を多く持つなど、さまざまな選択肢もあります。
太田ポリエチレン営業部はほぼ半分が女性。子育てをしながら仕事をしているパワフルな先輩方もいます。私もいつか結婚して、子どもを生んで、そして仕事を続けていくのだと、自分の将来がイメージしやすいですね。
伊木週末はしっかり休むことができ、長期の休暇も計画的に取ることができるので、プライベートを大事にすることができます。私は海外旅行が好きで、長い休みには、カナダのような雄大な自然があるところに行き、写真を撮りながらのんびり散策したり、食べ歩きしたりしています。
太田私は海が好きなんです。最近は、フィリピンの島に行って、素潜りをしてきました。いつか素潜りをしながら自分の手で魚を捕るのが目標です。
伊木自由な会社ではあるのですが、若手にいろいろな挑戦をさせてくれる機会もあります。私は、一昨年、社長から声をかけられ、社内の女性ネットワークWIN (Women’s Innovation Network)のリーダーを務めました。15人ほどのチームで、外部からスピーカーを招き、講演会などを企画・実施するのが主な活動です。男女問わず働きやすい職場環境について考える、女性上司と年上の男性部下がうまくやっていくには、など、自分たちでさまざまなテーマを考え、社内外から協力者を募りました。この活動を通して、社内でのネットワークが確実に広がったと思います。
太田今年は私がそのWINのリーダーになりました。これから社内で声をかけて、メンバーを集めるんです。
伊木とてもやりがいのある活動です。太田さんらしい企画が出るのを楽しみにしていますね。
これがあるから頑張れる!
- 太田 麻莉さん
- ポリエチレン営業本部
大好きな海でダイビングや素潜りを楽しんでいます。ポジションや社歴など関係なく、みんなでワイワイ楽しむ時間です
これがあるから頑張れる!
- ポリエチレン事業部バリューチェーン マーケティングマネジャー
- 伊木 彩乃さん
休みの日は野球観戦、ライブなどの音楽鑑賞をして過ごします。長期の休みは海外旅行が楽しみです
- ダウ・ケミカル日本株式会社
- 米国に本社を置くザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(ダウ)の日本法人。科学とテクノロジーの知見をもとに、人類の進歩に不可欠な第一級の素材科学ソリューションの開発に取り組む。ダウが擁する、市場主導型かつ業界を代表する高機能素材、工業用中間体およびプラスチック事業のポートフォリオは、包装やインフラ、コンシューマー・ケアなど成長著しい市場における顧客企業に向けて、差別化された技術に基づく幅広い製品やソリューションを提供。2010年からオリンピックのワールドワイドパートナーであり、「公式化学会社」を務めている。2020年東京オリンピックでも、最新の環境技術を世界に発信する舞台を作ることに貢献する。
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- 本社:
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- ピーター・ジェニングス
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