フィリップ モリス ジャパン合同会社

Yuriko Sato

佐藤 百合子さん

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Takayuki Tamao

玉生 孝之さん

国籍・年齢・宗教等を問わない職場環境のD&Iを推し進める

「男女間の賃金に差がない企業」として国際的に認知される

アメリカのニューヨークに本社を置き、スイスのローザンヌに統括本部を持つグローバル企業であるフィリップ モリス インターナショナル(PMI)。8万人以上の社員がいる中で、人種や国籍・宗教・年齢・婚姻状況あるいは障害の有無などさまざまなダイバーシティ(多様性)のある人財をインクルージョン(受容)し、あらゆる社員が、同一の雇用機会を持つことが大切であると考え、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」を推奨し実行している。PMIの子会社であるフィリップ モリス ジャパン合同会社(PMJ)で、2014年から経営幹部の一員となり、2017年1月より「D&I」の推進を担当している佐藤さん。一方で、2004年に営業として入社し、ファイナンスの部門を経て、より社内のさまざまな部門とやりとりすることができる仕事がしたいと考え、現在はオペレーションズ部門の購買担当を務めている玉生さん。日常的に多様な人種や国籍のスタッフと仕事をする二人に話を伺った。

佐藤 PMJでは、他国から異動してきた社員や、日本で新たに採用した社員を含めると、スイス、イギリス、オーストラリア、フランス、中国、韓国、台湾、インドなど、20カ国以上の国籍の社員を擁しており、D&Iは日常的に身近なテーマとなっています。

玉生 私が担当している業務は、オフィス用品から社外イベント用の発注先企業の手配まで、社員が必要とするあらゆる物品やサービスの購入を担当するパーチェサーというもので、営業やマーケティングなどのスタッフと、日々コミュニケーションを取っています。以前は日本企業で事務職に就いていたのですが、PMJではまず、男女間で任される仕事の違いがまったくないことに気付きました。評価は仕事の内容だけで判断され、年功序列もないことから、部下の方が年上であることも頻繁にあります。職場の中に外国人がいるのもごく日常的な光景で、以前ファイナンス部門に所属していた際は同僚にフィリピンの方がいました。

佐藤 百合子 さん

法務・シニアカウンセル

日本国内の法律事務所に弁護士として約4年半勤務したのち、外資系製薬企業の社内弁護士に。2009年フィリップ モリス ジャパン入社。2011年にはスイスで半年間勤務、2014年より経営幹部の一員に加わる。

私の息抜き

フラメンコの舞台前、リハーサル時間を確保するため、勤務時間や場所を調整することもあります

佐藤 私は日本の法律事務所出身の弁護士で、最初はPMJの社内弁護士として入社し、現在は法務部門を代表してマネジメントに参加しています。今年私たちが推し進めるD&Iは、人事部門ではなく、各部門の担当者が集まって取り組んでいるところに特徴があります。D&Iは、ビジネスに貢献してこそ意味があるものだと考えています。これまでは、そもそもD&Iの認知度を上げるためのステップに注力してきましたが、それをベースにして、これからは各部門の意見や業務上のニーズを聞いて反映し、効率の良い働き方と従業員の帰属意識を維持向上することにより、本当の意味でビジネスに貢献できるD&Iプログラムの実施を目指しています。

玉生 販売店を回る営業の仕事は男性が多いのですが、本社では女性が数多く働いています。私の今の部門では男女の数がほぼ半分で、特に女性だから、というように意識したことはないですね。

佐藤 ジェンダーというのは一つの切り口でしかないと考えていますが、PMJでは、本社管理職の約3割は女性です。他方、現場の営業では女性の比率は1割にも届きません。今後この数字をもっと伸ばしていきたいと考えています。また、2016年には、スイスに拠点を置くNPO法人EQUAL-SALARY Foundationから「男女間の賃金に差がない企業」として認証を受けました。これは、男女間で同一賃金であることを認証するもので、50人以上の社員を雇用し、そのうち10人以上が女性である企業に対して授与されます。PMJは、日本の会社として初めてこの認証を受けました。私たちのD&Iの試みが認められたものとして、非常に光栄に思っています。

柔軟な勤務時間を利用して保育園は夫婦交代で送り迎え

玉生 勤務形態が非常に柔軟であることも特徴です。私は妻もPMJの社員なのですが、お互いの始業時間や終業時間を調整しつつ、交代で子供の保育園の送り迎えをしていました。「年次有給休暇」以外にも「ファミリー休暇」があり、子供が病気のときや学校の授業参観があるときに、これを利用することができます。

佐藤 小さい子供がいる人、介護をしている人、または単身者などもいますから、ありとあらゆる環境の人にとって使いやすい制度を作ることを目標としています。例えば、独身の一人暮らしの人でも、平日の昼間にマンションの管理組合の会議に出なければならないことがありますね。そういった際に、有休やフレックスタイム制度を利用することができるのです。

玉生 在宅勤務が認められているのも便利ですね。例えば子供が急に具合が悪くなったけれど、今日は大事な仕事があるというときは、自宅で仕事をすることができるよう、IT環境が整備されていて、この在宅勤務は、週に1回、月4回まで利用することができます。往復の通勤時間が節約されるので、私は在宅勤務の日の方が、仕事がはかどると思えることさえあります。

佐藤 自分の判断で動くことができるのもこの会社の特徴ですね。例えば、台風で電車が遅れたときなど、駅で遅延証明書をもらうための長い列ができていたりしますが、このような状況にも柔軟に対応ができます。台風が来ることが分かっていれば、前日のうちに「明日は午後から行きます」と報告して在宅勤務の準備をしておけばいいわけですから。

玉生 孝之 さん

オペレーションズ・購買担当

日本企業で3年間事務職を務めたのち、2004年、営業としてフィリップ モリス ジャパン入社。約2年の営業経験を経て、2006年よりファイナンス部門へ。2015年より購買担当となる。

私の癒し

週末は家でゆっくりと、子供と一緒に料理を楽しみます

玉生 在宅勤務や有休の申請がしやすい環境もあります。上司が率先して休みを取ってくれるので、自分も取りやすく、申請しにくいと思ったことはありません。

佐藤 私の場合、ヨーロッパのオフィスとのやりとりが多いことから、時差の関係で、日本時間の遅い時間にメールを送ったり電話会議に出たりしなければならないことがあります。そういうときはあらかじめ出社を遅らせて就業時間を調整することもあれば、早めにオフィスを出て家で夕食の支度などを終え、夜、自宅から電話会議に参加することもあります。私に限らず、グローバルな体制の中にいると、上司や同僚が必ずしも日本のオフィスにいるわけではなく、自分で時間の都合をつける必要が出てきます。逆に言えば、自己管理ができれば、予定にあわせてフレキシブルに働くことができるのです。

玉生 昔勤めていた日本企業では、「始業時間の10分前には皆席に就いていて、9時になると始業のチャイムが鳴る」という毎日でしたが、ここではそういうことがまったくありません。ただ、その分、仕事の時間配分は自分で決め、自分でこなしていかなければなりません。

佐藤 ただ、同じ会社の人間でも、同じ時間に社内にいるとは限らないので、違う部門の○○さんに用事があるとしても、「今日はもう終業しています」ということもあります。お互い、フレキシブルなスケジュールの中で仕事をしていることを意識しながら行動しないといけませんね。

玉生 社内にも非常に多様なライフスタイルがあって、それぞれ意見や考えが異なることは、常に理解しておかないといけないと思います。

外国人の同僚や上司とも意識せず自然に接する

佐藤 社内の公用語は日本語と英語で、日本のオフィスの中でも英語で話をしなければならない機会は多いですね。全社員向けの重要なお知らせやメールは常に日本語と英語併記で作成します。私は自分で英会話のレッスンに通ったりしたこともありますが、基本的に英語は仕事をしながら覚えていきました。

玉生 私の場合、以前の会社では英語は必要なく、PMJでも最初は販売店を回る営業の仕事だったので、英語を聞いたり話したりする機会はありませんでした。ファイナンス部門に移って英語を使わなければいけなくなったとき、最初は不安でした。でも、日常の中に外国の方がいるので英語でやりとりをする場面は必ずあり、実際英語を使わざるを得ない状況なので、徐々にコミュニケーションが取れるようになりました。英語は今も勉強しています。社内に外国の方がいて日常業務でも接するので、相手が「外国人だから」と意識することなく、自然に接することができるようになるものです。

佐藤 上司と部下という垣根も普段あまり意識することがなく、フランクに話し合うことができる点も、コミュニケーションが取りやすい理由だと思います。

玉生 確かに、経営幹部の一員である佐藤さんと私がこうして一対一で会社のことを語り合っているというのも、一般の日本企業ではあまりないことですね(笑)。コミュニケーションが円滑なPMJならではのことだと思います。

フィリップ モリス ジャパン合同会社 (PMJ)

世界各国でたばこ事業を展開するフィリップ モリス インターナショナル(PMI)の日本法人。

PMIが製造するたばこ製品のマーケティングおよび販売促進活動を行う。1985年に日本で営業を開始、全国に約1,900人の従業員を擁する。

フィリップ モリスの企業ビジョンである「煙のない社会を目指して」、紙巻たばこに替わる煙の出ないIQOSのような「健康リスク、および社会全体への影響を低減する可能性のある」製品開発を進めている。

2016年には、スイスに拠点を置くNPO法人EQUAL-SALARY Foundationの、男女間で同一賃金であることを認証するEQUAL-SALARY Certificationを日本国内で初めて獲得。

  • 本 社東京都中野区本町4-38-13 日本ホルスタイン会館内
  • 代表者服部正太
  • 連絡先TEL: 03-5342-1100(代)
  • URLpmjl.jp