SPRING 2019グローバルな会社で働く!

グローバル企業で働く社員キャリアレポート

Career Report
チャレンジを奨励する環境で、
グローバルチェーンならではのダイナミズムを
体感できる仕事

コストコ ホールセール ジャパン株式会社
市瀬 宏行さん×柴田 智子さん

市瀬 宏行さん
商品購買部ハードライン商品 本部長
米国大学留学後、2000年入社。マーケティング、本社購買部の在庫管理、アシスタントバイヤー、バイヤー、副部長を経て2009年より現職。
柴田 智子さん
商品購買部ハードライン商品 副部長
日本の製造企業に8年勤務後、2006年入社。生鮮食品を担当したのち、商品購買部の在庫管理、アシスタントバイヤー、バイヤーを経て2017年より同部副部長。

コストコ ホールセールは、高品質な商品を低価格で会員に提供する会員制大型倉庫店の小売グローバルチェーン。アメリカをはじめ世界11ヵ国に740店以上を展開している。日本でも1999年に福岡に初出店して以来、現在は26倉庫店を数え、着実に成長している。職場では、完全能力主義、オープンドアポリシー(上司と話しやすい)、機会均等制度(性別、年齢、国籍を問わずチャンスがある)が徹底され、社内キャリアアップ支援も充実した環境だ。同社の商品購買部ハードライン商品本部長の市瀬宏行さん、同副部長の柴田智子さんに、グローバル企業コストコでの働き方、やりがいなどについてお話を伺った。

世界のチームが一丸となって買い付け そのダイナミズムが面白い

市瀬アメリカの大学ではマーケティングを学びました。帰国して就職活動をしている時、コストコのバイヤーをしていた知り合いから、2000年の幕張倉庫店のオープンに合わせたスタッフ募集について教えてもらい、応募して採用されたのがコストコで働き始めたきっかけです。倉庫店スタッフ、在庫管理を経て、バイヤーとしてキャリアを積み、現在、車用品などを扱う商品購買部ハードラインの本部長を務めています。

柴田日本の消費財メーカーに8年在職していました。その企業で、アメリカの小売業界への進出を検討するプロジェクトに関わる機会がありました。その事業は残念ながら実現しなかったのですが、小売に対する興味が強まり、コストコに転職してきました。食品を扱う部門の購買からキャリアをスタートし、13年目です。購買部非食ハードライン副部長となって1年8ヵ月です。

市瀬われわれがいる部は、商品を選び、価格、数量、納入時期を決めるという一連の流れで、単純に言えば仕入れをする部署ですね。高品質とベストな価格に注力してどういう商品を選ぶか、が肝になります。年に数回は海外出張があります。アメリカばかりでなく、商品の性質上、生産国である中国の工場を訪問することも多いですね。その際、他国のコストコのバイヤーとチームで行き、工場と製品を一緒に見ます。現地工場の衛生面、福利厚生環境、法律遵守などの運営方法のチェックなども業務に含まれています。

柴田コストコの一番ダイナミックなところは、グローバルバイングができる点だと思います。アメリカはもちろん、アジア、韓国、台湾、オーストラリアなど11ヵ国のバイヤーたちが集まってグローバルミーティングを開催したり、一緒に展示会に参加したりして世界規模で買う商品を決めていきます。こうした方法が特徴的な仕入れの仕方ですね。全世界のバイヤーたちが同じ商品を買う大量購入のため、より良いものをより安く買うことができる。また、他社とは違うスペックを開発し、コストコオリジナルの商品を生み出していくことをやっています。

市瀬ある国で売れているものの成功事例やトレンドなどについて、グローバルに情報のシェアができるところもコストコらしい面白さですね。「オーストラリアでこんなものがはやっているなら、日本でもトライしようかな」とか。国が違えば好みも違うので、成功するかどうかは別の話ですが、コストコに行くと日本で見当たらない商品を見られるので、メンバー様に面白い場を提供できる。売り場を活性化させるためのチャレンジとして、非常に良い文化があるなと感じています。逆に日本での成功事例が世界に広がった例もたくさんあります。最近の例では、アメリカの展示会で見つけ、日本で先行販売した車用の電動油圧ジャッキが、他店ではおそらく倍以上の値段がすることもあって飛ぶように売れたんです。その現象は他国にも伝えられて、今ではアメリカ、台湾、韓国でも非常によく売れていると聞いています。

失敗しても再チャレンジ スピード感のある企業文化

柴田一方で、グローバル企画で商品を作っていくとはいえ、それぞれの国で売れるものにしなくてはならない。売れる色、デザイン、企画などを理解して主張していかなければならないところは大変ですね。失敗もたくさんしてきたのですけれども、コストコは、「何でもやってみることに意味がある」という文化の会社なので、いろんな商品の導入にチャレンジできます。食品バイヤー時代には、日本市場に初めて紹介した商品で、数千万の損を出してしまったこともありましたが、「ダメだったら次に頑張りましょう」と考えてもらえる会社です。前職の日本企業は「失敗は許されない」という考え方だったんですね。一事業を立ち上げるにあたっても、石橋を何度もたたいて1年かかっていたところを、コストコでは部長や社長のOKが取れれば、10分の1ほどのスピードで先に進める感じです。そのスピード感が大きな成功につながっているところも多々あります。その分、非常に大きな決定権を持たせてもらっています。「失敗を恐れてはダメだ」とよく言われますね。

市瀬コストコのプライベートブランド、カークランドの初めて日本で製造する製品(緑茶のティーバッグ)のプロジェクト担当を任されたことがあります。立ち上げの際、パッケージの色・形、成分などは当然ながら、生産工場の従業員の勤怠記録を見て、残業代がきちんと支払われているかまでチェックしました。単にサプライヤーが提案してくるものを買って値段を付けて売るわけではなく、販売する商品の安全性、生産現場の環境も精査する。入社当時から「ディテールが大切だ」と聞かされていましたが、これほど細かにサプライチェーンを調べなければならないとは自分でやってみるまで分からなかったんです。自分の役目はメンバー様に商品を届ける前の最後のスクリーニングをすることだと肌身で気付かされた、キャリア的にターニングポイントとなった経験でした。

男女平等が徹底した環境 ワークライフバランス重視で働きやすい

柴田振り返ってみると、コストコに入ってから女性だからこうしなさいと言われたことが一度もないんですね。女性が総合職で働く考えがまだ定着していなかった時代背景もあって、以前勤めていた日本の会社では結婚して辞めていく女性もたくさんいたのですが、コストコは女性が多く、今まで働きやすくやってこれたかなと思っています。残業もほぼゼロに近い人も少なくないですし、私の場合も30分から1時間程度です。その代わり、勤務時間中の皆さんの集中力はすごく高いですね。

市瀬当社の考え方としては、ワークライフバランスは非常に重要で、就業時間内に仕事を終わらせ、後はリラックスして自分の好きなことをしてもらいたい。毎月、人事部から部下の有給休暇はこれだけ残っているというレポートがきて消化を促すように、などと言われます。それもマネジャーの仕事の一つなんです。私もロールモデルとなるよう、自ら積極的に休みを取るようにしています。今の仕事はバイヤーのマネジメントなので、彼らが心地よく仕事を進められる環境を作ることを心掛けています。帰る前に全部のブースを回って、仕事以外のくだらない話もしたりして、コミュニケーションの風通しを良くする、壁を作らない、というのが私のスタイルですね。

柴田管理職になってから仕事がガラッと変わりメンバーのマネジメントをするようになったので、やはり自分がいつも元気に、ポジティブでいることが重要だと思っています。自分に気分の波があったり、落ち込んでいたりすると皆さんにも影響を与えてしまい、負のスパイラルに陥ってしまうので。仕事は家に持ち帰らないタイプで、1時間半ほどの長めの通勤時間を活用して音楽を聞いたり本を読んだりして、気分をスパッと切り替えられるようにしています。今後は、会社の成長と同時に、現在のマネジメントのポジションで自分自身がどう成長していけるかを学んでいきたいですね。コストコはざっくばらんで、自由な社風の会社です。自分の意見をはっきり言う人も多いですし、フレキシブルな考え方を持っている社員は実力を発揮して、楽しんで仕事をしています。そのような環境に適応できるキャラクターの方には向いている会社だと思います。

市瀬私が入社したのは国内出店数が2倉庫店のころで、その後の成長を見届けてきてはいるのですが、コストコは出店の面でも商品的にも、まだ白紙の部分が多い。その部分を埋めて、コストコジャパンの日本でのプレゼンスをもっと高めていきたいというのが私のモチベーションとなっています。世の中も変わっていっていますし、会社が成長するためにはいろんな新しいことにチャレンジしていかなければならない。その仲間として、自分で考えてそれを行動に移し、自分から仕事を作っていく人には、ぜひいらしていただきたいですね。

これがあるから頑張れる!

市瀬 宏行さん
商品購買部ハードライン商品 本部長

オーストラリア・モートン島にて。家族で遊ぶ時間を大事にしています。旅行の企画・予定を立てている段階でテンションが上がります。

これがあるから頑張れる!

柴田 智子さん
商品購買部ハードライン商品 副部長

主人と共通の趣味のゴルフで、気分もリフレッシュできます。スコアアップを目指して頑張っています。

コストコ ホールセール ジャパン株式会社
アメリカ生まれの会員制大型倉庫型店。「経費を節約し、その分を会員に還元しよう」という企業哲学のもと、高品質な優良ブランドをできる限り低価格で提供している。コストコが誕生したのは1983年。ワシントン州シアトルの倉庫店から、その歴史はスタートした。当初は普通の倉庫店だったが、特定個人を対象とした大型会員制倉庫店というスタイルを確立し、人気をさらった。現在の社名である「コストコ ホールセール」となったのは1997年。全世界11ヵ国と地域に740倉庫店以上、24万人以上の従業員を抱えるグローバル企業となった。日本にコストコがオープンしたのは1999年で現在、全国に26倉庫店があり、従業員数は約9,000名を数える。
コストコ ホールセール ジャパン株式会社

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